【第243号】織田家城郭史

早いもので九月。日中は暑くても朝晩は冷え込む日も出てきます。くれぐれもご自愛ください。

「尾張名古屋・歴史街道を行くー社寺・城郭・尾張藩幕末史―」をお送している今年からのかわら版。今月は織田家城郭史です。

尾張の中心、清洲城

清洲城は一四〇五年、尾張守護の管領斯波義重によって築城されました。

清洲は尾張国の中央部に位置し、鎌倉街道、美濃街道、伊勢街道が合流し、中山道にも繋がる交通の要衝です。

清洲城は当初、尾張守護所下津城の別郭でした。一四七六年、守護代織田家の内紛に伴う戦で下津城が焼失。一四七八年、守護所は清洲城に移りました。

尾張下四郡を支配する守護代清洲織田氏(大和守家)の本拠でしたが、やがてその重臣の立場から頭角を現した織田弾正忠家の当主織田信秀が居城します。

信秀が清洲城から那古野城に拠点を移すと、守護代織田信友が入城。一五五五年、信友は信秀の嫡男信長と結んだ清洲城織田信光によって討たれ、信長が清洲城に入りました。

一五六二年、信長と徳川家康が清洲城で同盟を締結。清洲同盟で東側への懸念がなくなったことから、一五六三年、信長は美濃国斎藤氏との戦に備えて小牧山城に移動。

一五八二年、本能寺の変で信長が討たれると、清洲城で清洲会議が行われ、城は次男織田信雄が相続。

豊臣秀吉による小田原征伐後、信雄は国替え命令に従わなかったために改易され、清洲城は豊臣秀次が治めた後、一五九五年に福島正則の居城となります。

一六〇〇年の関ヶ原の戦いでは東軍の後方拠点となり、安芸に転封された福島正則に代わり、徳川家康の四男松平忠吉が入城。忠吉は早逝し、一六〇七年、代わって家康九男の徳川義直が入城。

一六〇九年、家康によって清洲から名古屋への遷府が命じられ、一六一〇年から城下町の移転開始。いわゆる清洲越しです。清洲城は解体され、名古屋城築城の資材として利用されました。名古屋城御深井丸西北隅櫓は清洲城天守の資材を転用して作られたため、清洲櫓と呼ばれました。

名古屋城完成と清洲越しの完了に伴い、清洲城の歴史は終わりました。

東方への備え、古渡城・末森城・守山城

古渡城は一五三四年に織田信秀が築いた平城です。東南方面の敵対勢力である今川氏や松平氏に備えるためです。

当時、信秀は今川氏豊から奪った那古野城に居城していましたが、古渡城に移った後は那古野城を嫡男信長に譲りました。

一五四八年、美濃に侵攻した信秀の留守を狙い、清洲の守護代織田信友が古渡城を攻撃。落城は免れたものの、城下町は焼失。

同年、信秀は末森城を築いて移ったため、古渡城はわずか十四年で廃城となります。

末森城は一五四八年、東山丘陵の端に織田信秀が築城。縁起を担いで末盛城とも書かれました。末森城も今川氏や松平氏の侵攻に備えた城であり、実弟織田信光の守山城と合わせて東方防御線を構成しました。

標高約四十メートルの丘に建つ平山城です。地形を利用して斜面の中腹に幅広の空堀を備え、内堀北の虎口には三日月堀と称される半月形の丸馬出がありました。

一五五二年、信秀が亡くなると末森城は次男信行が継ぎます。

一五五六年、信行は林秀貞、柴田勝家などとともに信長と敵対。しかし、稲生の戦いで信長に敗れ、末森城に籠城。信長は末森城下を焼き討ち。城内にいた母土田御前の願いで信行は許され、末森城は陥落を免れます。

一五五八年、信行が再び謀反を企てたものの、柴田勝家が信長に内通。清洲城に呼び出された信行は謀殺されました。

末森城は廃城となりましたが、一五八四年の小牧長久手の戦いに際し、織田信雄が拠点として末森城を使います。信雄は馬出や総構えの構造を造りました。

城の西北山麓にあった信秀の霊廟は城の東南の桃巌寺に移され、信行とともに供養されています。

名古屋城の前身、柳ノ丸と那古野城

那古野城は今川氏親が尾張東部まで勢力を拡大した時期に名古屋台地(熱田台地北部)の西北端に築いた柳ノ丸を起源とします。庶流の那古野氏が居城としました。

一五三二年、織田信秀が計略により今川氏豊を追放して柳ノ丸を奪い、この時に信秀が那古野城と命名しました。

その後、信秀は那古野城を幼い信長に譲り、自身は同じ台地の東南を固めるために古渡城を築いて移りました。

一五五五年、信秀の後を継いでいた信長は一族の織田信友を滅ぼして清洲城に移り、那古野城は叔父信光、重臣林秀貞らが護りましたが、やがて廃城となります。

その後、義銀が信長追放を企てると、逆に義銀を追放して尾張を統一しました。

廃城後の城址周辺は鷹狩に使われるような荒野になっていましたが、五十四年後の一六〇九年、徳川家康が旧城地に名古屋城築城を命じました。那古野城の旧城地は名古屋城二之丸に当たります。

桶狭間の戦い、三城五砦史

信長の名前は桶狭間の戦いで一躍全国に知られることになります。来月は桶狭間の戦いを巡る三城五砦史をお送りします。乞ご期待