皆さん、こんにちは。七月です。いよいよ夏本番。暑い日が続きますが、くれぐれもご自愛ください。

かわら版では日常会話の中に含まれている仏教用語をご紹介しています。知らず知らずのうちに使っている仏教用語。それだけ日本人の生活に溶け込んでいるということです。

今年も猛暑が心配ですが、夏バテ対策には食生活が大切ですね。夏バテを防ぐ食べ物はいろいろありますが、納豆なんかもいいですね。この「納豆」、実は仏教に由来する言葉です。

納豆は中国から仏教とともに僧によって日本に伝えられ、寺院で作られ、やがて人々に普及していきました。元禄時代の「本朝食館」という書物に、お寺の納所(なっしょ)で作られていたために「納所豆」と称するとの記述があり、これが単純化して「納豆」になりました。

「納所」は寺務をしたり、食料を収めていた場所。壺や桶に豆を入れて保管したそうです。また、初めは寺納豆と言ったとも伝わります。

お寺と食べ物の関係と言えば精進料理がすぐ思い浮かびます。過去のかわら版でお伝えしたとおり、「精進」も仏教用語ですね。精進料理によく添えられるのが豆腐。この「豆腐」も仏教由来の言葉です。

「腐」は「腐る」という意味ではありません。中国ではヨーグルトを「乳腐」と呼ぶように、固い状態ではないこと、あるいは液体に近い状態を指します。「豆腐」の「腐」もそういう意味です。

豆腐も納豆同様、中国から僧によって伝わり、お寺から市井に広まりました。高野豆腐、南禅寺豆腐、空也豆腐など、仏教由来であることがわかる呼び方もあります。

肉を食さない僧にとって、豆腐は重要な蛋白源。油揚げ、がんもどき、厚揚げなどの材料にもなりました。

同じように、そもそもの原形が中国から伝わったものに、味噌、饅頭、醤油、湯葉などがあります。味噌は鑑真が伝えたといわれ、日本で作られた最初の饅頭は奈良饅頭です。

納豆、豆腐、味噌、醤油等の材料は大豆です。そもそも大豆も大陸由来であり、日本に伝わったのは弥生時代のようです。やがて日本でも栽培されるようになり、最初の頃は「だいず」ではなく「おおまめ」と呼ばれていたそうです。

奈良時代には納豆、豆腐、味噌、醤油等が作られ始め、「大豆」の呼び方も「おおまめ」から「たとう」、「たとう」から「だいず」へと変化していきました。

平安時代の日本最古の医学書「医心方(いしんぼう)」に大豆の食べ方や薬用での使い方などが記されています。鎌倉時代には精進料理が広がり、室町時代に洗練されていきます。

やがて戦国時代には、味噌等は武士や農民の兵糧・保存食としても重宝され、江戸時代には町人にも大いに広がりました。大豆が材料ではないですが、饂飩(うどん)の原形も空海が唐から持ち込んだと伝わります。

仏教とともに伝来した食べ物はたくさんありますね。しかも、中国よりも日本にその食文化が根付いていることも不思議です。ではまた来月。

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