【第230号】三河新四国の宗派とご本尊

皆さん、こんにちは。八月も後半に入りましたが、まだまだ猛暑が続きます。くれぐれもご自愛ください。

さて、昨年からお伝えしてきた 三河新四国八十八ヶ所霊場。先月、八十八番法城寺を参拝して結願しました。今月は三河新四国の宗派とご本尊についてです。

最多は浄土宗系

三河新四国は本四国の霊場と異なり、もともと必ずしもお大師様ゆかりのお寺ばかりではありません。また、一九六五年(昭和四十年)に三度目の再興、となったこともあり、宗派は真言宗が中心というわけではありません。この点は、知多四国と同様です。

本四国では八十八ヶ所のうち八十ヶ所が真言宗系のお寺です。知多四国で最も多いのは曹洞宗のお寺でした。

三河新四国四十九ヶ寺(八十八ヶ所)を整理すると、一番多いのが浄土宗系の二十ヶ寺(浄土宗十、浄土宗西山深草派十)、二番目が真言宗系の十七ヶ寺(真言宗醍醐派八、真言宗六、真言宗高野派一、真言宗豊山派一、信貴山真言宗一)、三番目は曹洞宗の七ヶ寺、四番目は臨済宗の三ヶ寺。残るは、時宗と天台寺門宗が各一ヶ寺で四十九ヶ寺です。

詳しくは表をご覧ください。

最多は阿弥陀如来・阿弥陀仏

四十九ヶ寺のご本尊も本四国、知多四国とは少し違います。

本四国では薬師如来が二十四、知多四国では観世音菩薩の三十二と最多。

一方、三河新四国では阿弥陀如来・阿弥陀仏の二十(一光千体も含む)が最多。お寺の宗派として浄土宗系が最多なので、当然のことかもしれません。

それに続いて不動明王十(身代わり不動明王明王、流汗不動明王も含む)、観世音菩薩十(千手観音と十一面観音も含む)、弘法大師が四、薬師如来二、その他四です。

一方、四十一ヶ寺の別堂札所のご本尊は、複数の先もあるので、合計で五十八です。

最多は弘法大師十六(冠大師等も含む)、観世音菩薩が九、地蔵菩薩系が七、阿弥陀如来・阿弥陀仏三、不動明王三、薬師如来三、その他十五です。

詳しくはやはり別表をご覧ください。

愛知の寺院数は日本一

日本人の生活と切り離せない寺社仏閣。全国津々浦々にある寺社仏閣。お正月の初詣に寺院と神社の両方に行く人も少なくありません。

これまでも何度かお伝えしましたが、四十七都道府県で寺院が一番多いのは愛知です。

寺院の数と聞けば、歴史から考えると京都、人口から想像すると東京が一番多いと連想するのが無理からぬところですが、実は愛知が一番。しかも断トツです。

文化庁が毎年発表する宗教年鑑(令和元年版)によれば、愛知の寺院数は四五五九で日本一。

愛知に続く大阪、兵庫、滋賀、京都が上位五都府県。愛知以外は全部近畿地方。一方、一番少ないのは沖縄の九十。次いで、少ない順に宮崎、高知、鳥取、青森です。

古くから日本の都は奈良、京都です。平安仏教、鎌倉仏教の多くの宗派の祖師や高僧が京都と滋賀にまたがる比叡山延暦寺で修行しましたので、近畿地方に寺院が多いのは頷けます。

沖縄が少ないのは、かつては本土と文化圏が異なっていたためです。一方、宮崎や高知は明治維新に伴う廃仏毀釈の影響を受けています。

因みに、日本最北端の寺院は稚内の天徳寺(曹洞宗)、最南端は竹冨島の喜宝院(浄土真宗)。全国の寺院数は七六八七二、仏教系宗教団体数は八四三二一です。

寺院数日本一の背景

来月は愛知県が寺院数日本一の背景について、少し深堀りしてみます。乞ご期待。