【第194号】知多八十八ヶ所霊場20(今月は七十二番からです)

皆さん、こんにちは。酷暑です。健康にはくれぐれもご留意ください。昨年から知多四国八十八ヶ所霊場についてお伝えしているかわら版、今月は七十二番からです。

雨乞いの壺

七十一番から北上すること約四・七キロメートル、七十二番は白華山慈雲寺。

一三五○年、大野城主一色範光が開基し、夢窓国師を開山とする古刹です。

山を借景にした門景が優れ、威風堂々の大伽藍と相俟って、知多四国霊場中、屈指の景勝寺とも言われます。
江戸時代の「尾張名所図会」にも、名勝として紹介されています。

一六○○年建立の観音堂はこの地域最古の建物。二○○年前に雨乞いの壺も寺宝として保存されています。

早速家族に代参を頼むと、たちまち快癒。この霊験に因んで「むねなで大師」として信仰を集めています。

ご本尊 千手千眼観世音菩薩

ご詠歌 嬉しくも 慈雲たなびく寺に来て 御名を唱ふる 法の声々

佐布里池・佐布里梅林

七十二番から東へ約二・一キロメートル行くと、七十三番から七十七番までの札所が密集する佐布里(そうり)という集落。

変わった地名ですが、愛知用水の調整池である佐布里池と佐布里梅林で知られています。

七十三番は雨宝山正法院。

当院は、一一八四年に創建された雨宝山如意寺一山九坊の本坊です。

明治時代の廃仏毀釈等で一山は縮小。現在は当院が七十五番と七十六番の管理、納経、御朱印も行っています。

ご本尊 地蔵菩薩

ご詠歌 一筋に 正しき法の道行かば迷いの夢も やがて晴れなん

ご本尊は弘法大師

七十三番の南側に隣接するのは七十五番、雨宝山誕生堂。

六十六番と同じく、聖徳太子創建の宮山金蓮寺九ヶ寺の一寺が縁起。

七十五番は如意寺一山の泉蔵坊に置かれていましたが、明治になって無住無壇になって廃寺。そのため、本坊境内の山上に堂宇が建立され、大師像が安置。ご本尊は弘法大師です。

四国霊場七十五案はお大師様生誕地であるこことから、誕生堂と命名されました。

ご本尊 弘法大師

ご詠歌 何時までも 色は香へど弘法の 徳は言葉の 花ぞ目出度し

佐布里の祈願所

七十五番の南に隣接するのは七十四番、雨宝山密厳寺もちろん、雨宝山如意寺一山九坊のひとつです。

境内には、薬師堂、白山社、天神社もあり、家内安全、病気平癒、安産祈願、学業成就、合格祈願等、諸願成就の寺として信仰を集めており、「佐布里の祈願所」として親しまれています。

毎年十一月八日、薬師如来の縁日で味噌田楽が振る舞われます。

ご本尊 十一面観世音菩薩

ご詠歌 知多の里 梅咲き香る密厳寺現世の利益 受けぬ者なし

雨乞いの地蔵

七十四番から道路を挟んで西側に隣接するのは七十六番、雨宝山如意寺。

かつては大伽藍でしたが、戦国時代の兵火で堂宇のほとんどを焼失。

ご本尊の地蔵菩薩は「雨乞いの本尊」として数々の霊験が伝わります。

ご本尊 地蔵菩薩

ご詠歌 有難や 六道能化地蔵尊 諸仏にまさる 慈親貴とし

中風除箸

七十六番から隣接する諸寺の方向へ戻ると、一番北側に隣接するのが七十七番、雨宝山浄蓮寺。

裏山には、お大師様が知多巡錫の際に立てた杖から芽吹いたと伝わる竹藪があり、そこから採った竹で作った「雨宝山浄蓮寺」が知られています。現在は竹ではなく南天で作られ、参拝者の人気を集めています。

ご本尊 不動明王

ご詠歌 浄き蓮うてなの上に生まれんと 動かぬこころ 仏ともみん

福生寺

来月は知多四国霊場を開創した亮山阿闍梨が入寂した七十八番、福生寺に向かいます。乞ご期待。