【第185号】知多八十八ヶ所霊場11(三十番札所から出発!)

皆さん、こんにちは。もう十一月。寒い日が増えました。くれぐれもご自愛ください。

今年のかわら版は知多四国八十八ヶ所霊場についてお伝えしています。今月は三十番からスタートです。

七日間の護摩修法

二十九番を出て集落の中を南へ。馬道交差点から県道七号線に出てさらに南下し、大井西交差点を左折。まもなく大井漁港に出ます。大井の集落には三十番から三十四番の札所が密集しています。二十九番から三十番、宝珠山医王寺までは約二・七キロメートルです。

七二五年、行基菩薩が草庵を結び、八一四年には三河から船でこの地に上陸したお大師様が当寺に参篭。七日間の護摩修法を行い、開山。

往時は七堂伽藍十二坊を擁し、そのうち四つの塔頭(たっちゅう)寺院が隣接して今日まで続いています。
知多四国霊場三開山のひとり、武田安兵衛行者の墓もあります。

ご本尊 薬師如来

ご詠歌 大井潟 救世の舟に棹さ して 渡るも嬉し 法の医王寺

赤門寺

三十番に隣接する三十一番、宝珠山利生院。医王寺の塔頭寺院のひとつ、東光庵として開創されました。

丹塗りの門のため、通称「赤門寺」。毎年一月二十八日の初不動では息災護摩供が行われます。小さな木札の「弘法さまの一年守り」はご利益があるとして人気です。

ご本尊 不動明王

ご詠歌 阿字の原 絶なく八つの 風吹けど 利生のちかひ 不動 盤石

金毘羅大権現護摩供

三十一番に隣接するのが三十二番、宝珠山宝乗院。やはり医王寺の塔頭寺院、宝泉坊が基となっています。

旧暦十月十日の金毘羅大権現護摩供の縁日は二百年以上続いているそうです。金毘羅大権現は海の守り神であり、古くから漁師の篤い信仰を集めています。

ご本尊 十一面観世音菩薩

ご詠歌 宝珠の峯に たなびく 白雲は 我が身をのせて 花 の浄土へ

明星井

やはり三十二番に隣接する三十三番、宝珠山北室院。同じく塔頭寺院、浄光坊として開創しました。

山門左手にあるのがお大師様縁の「明星井」。江戸時代に刊行された「尾張名所図会」にも紹介されています。

当院は、聖崎の「上陸大師」の納経所にもなっています。

ご本尊 聖観世音菩薩

ご詠歌 東西南と 心迷へど 詣 る浄土は 北室の寺

福寿稲荷大明神

さらに三十三番に隣接する三十四番、宝珠山性慶院。塔頭寺院・円蔵坊として開創されました。

本堂左手には福寿稲荷大明神が祀られています。堂の前には左右三体ずつの「おきつねさま」。賭け事にご利益があると信じられ、参拝者が「おきつねさま」の石片を持ち帰るため、ところどころ欠けています。

ご本尊 青面金剛

ご詠歌 来てみれば 性慶院に 花飾り 菩提の種を 結ぶう れしさ

上陸大師

八一四年、お大師様が三河から船で渡って来て上陸したのが当地。聖崎という地名もその史実に由来します。港の沖の岩礁には上陸大師の像が立っています。

師崎・日間賀島・篠島

来月は上陸大師を横目にさらに南下。いよいよ師崎です。船に乗って日間賀島、篠島に渡ります。乞ご期待。