【第175号】知多八十八ヶ所霊場

皆さん、明けましておめでとうございます。平成二十九年、「丁酉(ひのととり)」の年が始まりました。

一昨年、昨年と二年間にわたり、四国八十八ヶ所霊場を紙上遍路した弘法さんかわら版。

今年は愛知県に戻り、知多八十八ヶ所霊場についてお伝えします。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。

知多と新三河

日本全国にお大師様の足跡を偲ぶ霊場があります。

八十八ヶ所と名のつくものだけでも、小豆島、篠栗、伊豆、御府内、佐渡、美作など、三十ヶ所以上。

全国を巡錫したお大師様。実際に足跡を残している霊場もあれば、お大師様を偲んで生まれた霊場もあります。

覚王山八十八ヶ所霊場は後者。明治末期から大正初期にかけて、日泰寺への仏舎利奉安を機に誕生。その経緯は過去のかわら版でお伝えしたとおりです。

愛知県内の知多四国八十八ヶ所霊場、三河新四国八十八ヶ所霊場は、全国的にもお遍路さんたちに知られています。
今年のかわら版。知多八十八ヶ所霊場についてお伝えしていきます。

大井聖崎

言い伝えによれば、お大師様は八一四年(弘仁五年)、諸国行脚、東国巡錫の途中、三河から海路、知多半島に沿って南下。

知多半島東側の南端近く、東に佐久島、南に日間賀島、篠島を擁する大井聖崎(南知多町)に上陸。

その後、同地の医王寺、岩屋寺に逗留された後、半島先端をぐるっと回って西側へ向かい、野間を経て北上。やがて、尾張から伊勢路に向かわれたそうです。

その足跡に沿って開創されたのが知多四国八十八ヶ所霊場。

全行程一九四キロメートル。徒歩でも一週間程度あれば結願できる霊場です。

覚王山八十八ヶ所霊場の札所の寺名は四国霊場と同じですが、知多四国八十八ヶ所霊場の寺名は異なります。

今から約二百年前に、既にあるお寺の中から霊場を定めていったため、寺名は四国霊場と異なることとなりました。
開創の経緯は来月のお楽しみです。

七市五町

知多四国八十八ヶ所霊場は、知多半島を中心に七市五町にわたっています。

霊場数の多い順に並べると、南知多町(十九ヶ所)、知多市(十三ヶ所)、美浜町(十二ヶ所)、常滑市(十一ヶ所)、五番目はそれぞれ六ヶ所の大府市と半田市、七番目はやはりそれぞれ五ヶ所の阿久比町、東浦町、東海市、十番目は武豊町の四ヶ所、そして豊明市と名古屋市にそれぞれ一ヶ所で八十八ヶ所です。

因みに一番は豊明市の清涼山曹源寺、八十八番は大府市の瑞木山円通寺です。

島霊場・開山所・番外霊場

日間賀島には三十七番・魚養山大光院、篠島には三十八番・龍門山正法禅寺、三十九番・金剛山医徳院の島霊場が三ヶ所あります。篠島には後述の番外霊場も一ヶ所あります。

八十八ヶ所のほかに、開山所として三ヶ所、番外霊場として七ヶ所が定められています。

亮山阿闍梨

来月は知多四国八十八ヶ所霊場の開創者、亮山(りょうざん)阿闍梨についてお伝えします。乞ご期待。