【第173号】四国霊場の開基(札所を開いた祖師)

皆さん、こんにちは。もうすぐ師走、寒い日が増えてきました。朝晩は冷え込みます。くれぐれもご自愛ください。さて、紙上遍路のかわら版。九月で結願し、先月は八十八ヶ所霊場のご本尊の全体像をお伝えしました。今月は開基(札所を開いた祖師)についてお伝えします。

十八開基

八十八ヶ所霊場の開基は、全部で十八祖師。

もちろん、一番たくさん札所を開いたのはお大師様。三十七ヶ所です。

もっとも、表をご覧いただいておわかりのとおり、お大師様と智証大師がともに開基となっている札所が二ヶ所。これを加えると三十九ヶ所です。

二番目にたくさん札所を開いたのは行基菩薩で、三十ヶ所。

お大師様と行基菩薩で六十七ヶ所(六十九ヶ所)ですから、このおふたりが断トツです。

三番目は、修験道、山岳仏教の祖師と言われる役行者(えんのぎょうじゃ)小角(おづぬ)。阿波と伊予で四ヶ所開いています。

複数の札所を開いた祖師は、お大師様と両開基になっている智証大師が二ヶ所、あとは日証上人が二ヶ所です。

残る十三ヶ所は、表に記載したとおりです。天皇としては、天武天皇と聖武天皇がお開きになっています。

智証大師

お大師様と両開基になっている智証大師の生前のお名前は円珍。お大師様の妹の子ですから、甥になります。

讃岐の国、八十一番・綾松山白峯寺と八十二番・青峰山根来寺。

いずれも弘仁年間にお大師様がそれぞれの山に登り、堂宇を建立。

のちに智証大師が訪れた際、白峯寺では白峯大権現の神託を、根来寺では市之瀬明神の神託を受け、それぞれに伽藍を建立するとともに、千手観世音菩薩像を彫ってご本尊としました。

標高と距離

来月は、標高の高い札所、札所間の距離の長い遍路、短い遍路などをご紹介します。乞ご期待。