【第151号】四国霊場、紙上遍路の旅1(一番竺和霊山寺・二番日照山極楽寺・三番亀山金泉寺)

皆さん、明けましておめでとうございます。弘法さんかわら版も十四年目に入りました。今年もどうぞよろしくお願い致します。

開創一二〇〇年

昨年は四国霊場開創一二〇〇年。かわら版筆者の私も、八月に室戸市での記念事業の講演にお招きいただき、お大師様についてお話させていただきました。

それにしても、二五〇〇年前のお釈迦様、一二〇〇年前のお大師様が、現代の私たちに影響を与えているのは本当にすごいことです。

四国霊場と言えば、言わずと知れた八十八か所のお遍路。

一番から二十三番は阿波(徳島)の「発心(ほっしん)の道場」。二十四番から三十九番は土佐(高知)の「修行の道場」。

四十番から六十五番は伊予(愛媛)の「菩提の道場」。六十六番から八十八番は讃岐(香川)の「涅槃の道場」。
全行程を歩いてお遍路すると、全長一三〇〇キロメートル以上。

実際に歩き遍路に挑戦するには十分な時間が必要ですねぇ。

そこで今月から、このかわら版で皆さんと一緒に、紙上遍路の旅に出たいと思います。どうぞお付き合いください。

十里十か所

鳴門市の中心部から西へ十キロメートルほど行ったところに坂東という町があります。

そこにあるのが一番札所、竺和山霊山寺(りょうぜんじ)。ご本尊は釈迦如来です。

開創は行基。八一五年(弘仁六年)頃、お大師様が二十一日間、修法逗留。一番札所に定められました。

本堂に隣接した本坊納経所にお遍路に必要なもの(金剛杖、菅笠、笈摺、納札、納経帖など)が揃っていますので、ここで身支度してお遍路に出発します。

一番から十一番札所までは平坦な道。昔から「十里十か所」と言い、朝早く霊山寺を出発すると、一日で十里(四〇キロメートル)十か所の霊場を巡ることができます。

霊山寺から二番札所、日照山極楽寺までは一・一キロメートル。ご本尊は阿弥陀如来です。

その昔、ご本尊の後光が鳴門の海まで達し、漁に支障が出ました。漁民たちは本堂の前に小山をつくり、以来豊漁になったと言い伝えられています。その逸話に因んで、山号は日照山となりました。

弁慶の力石

二番札所から三・一キロメートル、三番札所は亀光山金泉寺(きんせんじ)です。

古くは金光明寺と称されましたが、お大師様が巡錫された折、霊水が湧き出たことから金泉寺に改名。その井戸は境内の黄金井地蔵の前にあり、ここを覗いて顔が映れば長寿の願いがかなうと言われています。

亀山法皇が深く信仰し、三十三間堂を寄進したことから、山号が亀光山となりました。

源平合戦の折、源義経がこの寺で休息。弁慶が力自慢に担ぎ上げた「弁慶の力石」が置かれています。

金剛杖

お遍路さんが携行する金剛杖。お大師様の分身として大切に扱います。

宿に着いたら、お大師様の御足を洗うかの如く、杖の先を洗い、床の間にそっと立てかけます。

杖は仁王様(執金剛神)の持つ金剛杵(しょ)を模し、上部は五輪(地水火風空)を象(かたど)り、お大師様のご加護で無事巡拝できる護身の杖です。

勝軍地蔵菩薩

来月は四番から出発です。五番のご本尊は勝軍地蔵菩薩。ちょっと変わったお名前ですね。乞ご期待。