【第84号】お釈迦様の生涯6(弟子の誕生)

皆さん、こんにちは。梅雨本番です。腰痛が気になる季節ですが、くれぐれもご自愛ください。さて、お釈迦様の生涯をお伝えしている今年のかわら版。今月はお釈迦様に弟子が誕生します。

梵天勧請(ぼんてんかんじょう)

菩提樹の下で悟りを開いたお釈迦様。しかし、その悟りの内容は深淵で言葉に表し難いと感じたようです。

お釈迦様としては悟りの境地を得るという目的を達したこともあって、この際、そのまま瞑想を続けて涅槃(ねはん)に入ろうと考えたそうです。

その時、一部始終を天界から見ていた梵天がお釈迦様の前に表れ、悟りの内容を人々に説き、衆生を救う努力をするように熱心に勧めました。

この出来事は梵天勧請と言われます。梵天の説得を聞き入れ、いよいよお釈迦様の説法が始まります。

釈迦牟尼世尊

ところで、悟りを開いたお釈迦様のことを仏陀(ブッダ)と呼ぶことは先月号でお伝えしました。

お釈迦様に乳粥を供養したスジャーターの住むガヤー村は、仏陀が悟った場所という意味でブッダガヤーと呼ばれるようになりました。

やがて、お釈迦様はシャークヤ国の聖者(ムニ)としてシャークヤムニとも言われるようになります。後に中国では漢字で釈迦牟尼(しゃかむに)と表され、釈迦牟尼世尊、略して釈尊(しゃくそん)とも呼ばれるようになりました。

初転法輪(しょてんぽうりん)

さて、お釈迦様はまず、かつて師事した三仙人(バッカバ、カーラーマ、ラーマプトラ)を訪ね、自分が悟った内容を話そうと思いました。

ところが、三仙人はもはやこの世にはないことを知ったお釈迦様。そこで、かつて一緒に修行した五人の沙門を相手に説法を行うこととしました。

その頃、五人はサールナート(鹿野苑=ろくやおん)という場所で修行に励んでいました。

お釈迦様が修行を諦めて堕落したと思っていた五人は、お釈迦様がやって来ると聞いて「シッダールタが来たら無視しよう」と決めていたそうです。

いよいよお釈迦様が五人のところにやって来る日。五人はだんだんと近づいてくるお釈迦様の神々しい姿に心を打たれ、思わず足もとに伏したといいます。

こうして五人はお釈迦様の最初の弟子となりました。五人の弟子に初めて教えを説いたことを初転法輪と称します。

三宝と阿羅漢

五人の弟子ができたことで、「仏」としてのお釈迦様、その教えである「法」、それを受け継ぐ「僧」という三宝(さんぽう)=仏法僧(ぶっぽうそう)が揃ったことになります。

お釈迦様の説法を聞き、修行を続けた五人はやがて悟りを開きます。お釈迦自身を加えて、六人の阿羅漢(あらかん)が誕生しました。阿羅漢とはアルハットというサンスクリット語の音写で、「供養を受けるに値するもの」という意味のようです。

サーナルートのあったヴァーラーナシーという街の長者の息子ヤシャもお釈迦様に弟子入り。続いてヤシャの友人四人、その友人五十人も弟子入りしてそれぞれ悟りを開きました。

ここに、六十一人の阿羅漢による仏教教団が成立しました。

四衆(ししゅ)

来月は僧、尼僧、男性信者、女性信者の四衆が誕生していく過程をお伝えします。乞ご期待。