【第82号】お釈迦様の生涯4(お釈迦様の出家と修行)

皆さん、こんにちは。お花まつり(四月八日=お釈迦様の誕生日)も過ぎ、既に初夏のような陽気ですね。お釈迦様の生涯をお伝えしている今年のかわら版。今月はお釈迦様の出家と修行のお話です。

二十九歳の十二月八日

四門出遊の折、沙門の神々しい姿に心を打たれたお釈迦様。この世の無常を悟るために、出家して自らも沙門となることを決意。城を捨て、家族と別れることになります。

十二月八日の夜、お釈迦様は従者のチャンダカとともに城を抜け出し、愛馬カンタカにまたがり、東に向かいました。

夜明けにアノーマー河に着くと、身につけていた全ての物をチャンダカに渡して剃髪。

粗末な布をまとい、いよいよ出家遊行の生活に入りました。お釈迦様二十九歳の時です。

三人の仙人

お釈迦様は、シャークヤ国の東に位置するマガダ国に向かいました。

マガダ国の都はラージャグリハ。この都の周辺にはインド各地から沙門が集まり、修行に励んでいたそうです。

お釈迦様はまず、バッカバ仙人を訪ねました。しかし、バッカバ仙人の苦行では六道(地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天)輪廻から解脱できないことを悟りました。

お釈迦様は次に、無処有処(むしょうしょ)という境地を目指して修行を積むカーラーマ仙人を訪ねました。

無処有処とは、心の中に何も存在しない状態。お釈迦様はまもなくこの境地を体得しましたが、それでも煩悩を乗り越えられません。

お釈迦様はさらに非想非非想処(ひそうひひそうしょ)という境地を目指すラーマプトラ仙人を訪ねます。

非想非非想処は瞑想によって全ての思考をなくした状態。お釈迦様はこの境地も体得しますが、それでもこの世の無常を悟るには至りません。

ビンビサーラ王

知恵と徳を備えたシャークヤ国の王子が都に来て修行していると聞いたマガダ国のビンビサーラ王。

お釈迦様を探し出し「地位も財産も名誉も約束するので、マガダ国へ士官してほしい」と勧めました。

お釈迦様は「この世の無常を悟り、生老病死の苦しみと六道輪廻の苦しみから解脱するために出家した身です」と言って、ビンビサーラ王の申し出を丁重に断りました。

ビンビサーラ王はお釈迦様の崇高な信念に感服し「悟りを開き、解脱した後には信者としてほしい」と申し出たそうです。

五人の沙門

三人の仙人の求道が自分の目指すものとは異なることを感じたお釈迦様は、ウルビルヴァーという村に向かいました。

村の近くにはブラークボーディ=前正覚山(ぜんしょうがくさん)という山があり、五人の沙門が修行に励んでいました。

お釈迦様はこの五人と一緒に六年間の修行生活に入ります。

この五人は、お釈迦様の父シュッドーダナ王が王子の身を案じて送り出した家来だったという説もあります。

お釈迦様の悟り

将来を嘱望されていた弘法大師も突然出家して修行生活入り。お釈迦様と弘法大師には共通点がありますね。

来月はいよいよお釈迦様が悟りの境地に達します。乞ご期待。