【第81号】お釈迦様の生涯3(お釈迦様の妻と四門出遊)

皆さん、こんにちは。春が待ち遠しいですが、まだまだ厳い日が続きます。くれぐれもご自愛ください。お釈迦様の生涯をお伝えする今年のかわら版。今月はお釈迦様の悩みです。

アシタ仙人の涙

皆さん、こんにちは。今日はご祥当=弘法大師の年命日です。ご祥当が来るといよいよ春本番ですね。

さて、お釈迦様の生涯をお伝えしている今年のかわら版。今月はお釈迦様の妻、ヤショーダラーと、お釈迦様の出家にまつわる四門出遊のお話です。

ヤショーダラー

シュークヤ国の王子であるお釈迦様。長じてこの世の無常を考えてもの思いにふける青年に育ちました。

「王子は出家して悟りを開くか、王位を継いで転輪聖王(てんりんじょうおう)になる」というアシタ仙人の予言を聞いた父、シュッドーダナ王。王子が出家するのではないかと心配していました。

王子に早く王位を継がせたいシュッドーダナ王。そこで、王位継承に備えてお釈迦様に結婚を勧めました。時にお釈迦様は十六歳。

王子は一週間ほど熟慮の末、父の勧めを受け入れました。妃の名はヤショーダラー。美しく優しい妃だったと言われています。

ラーフラ

「人はなぜ生まれ、老い、病に倒れ、死んでいくのか」。瞑想にふけるお釈迦様の日常は変わりませんでしたが、結婚生活は平穏でした。

やがて、ヤショーダラーが男児を出産。これでお釈迦様の出家の心配もなくなると喜んだシュッドーダナ王の期待に反し、お釈迦様は「ラーフラが生まれた」とつぶやいたそうです。

ラーフラとは「妨げ」という意味。この世の無常を悟るために瞑想にふけるお釈迦様にとって、愛するわが子の誕生は心が揺らぐ原因になると感じていました。そのことが「ラーフラが生まれた」というつぶやきにつながったようです。

このことから、男の子はラーフラと名づけられました。何だかかわいそうな気もしますが、それだけお釈迦様の愛情が深かったということでしょう。

四問出遊

お釈迦様のことを案じたシュッドーダナ王。ある時、お釈迦様に気分転換のために散策に出ることを勧めたそうです。

さて、お釈迦様がカピラ城の東門から散策に出かけると、息も絶え絶えの老人に遭遇。「人はなぜ老いるのか」。お釈迦様は沈痛な気持ちになり、カピラ城に引き返しました。

次に南門から外出。すると今度は道端で苦しむ病人に遭遇。「人はなぜ病に倒れるのか」。お釈迦様は再び重い気持ちになって城に戻りました。

しばらくして西門から外出すると、葬列とすれ違いました。「人はなぜ死を避けることができないのか」。お釈迦様はこの世の無常に心を痛めて、三たび城に引き返しました。

そして最後に北門から出かけようとすると、ひとりのシュラマナ=沙門(しゃもん)が歩いていました。その姿は堂々として光り輝き、この世の無常を達観しているようでした。

「あの沙門のように俗世を離れて修行を積み、人の生老病死の運命、この世の無常を感得したい」。お釈迦様の頭に「出家」という二文字が浮かびました。

この出来事を四門出遊と言います。お釈迦様が出家する契機となった逸話です。

出家と三人の師

さて、お釈迦様はいよいよ出家を決断します。来月はお釈迦様の出家と三人の師との出会いです。乞うご期待。