【第79号】お釈迦様の生涯1(お釈迦様の誕生)

あけましておめでとうございます。かわら版も足かけ八年目。今年はお釈迦様の生涯をお伝えします。ご愛読のほど、よろしくお願いします。

シャークヤ国のお釈迦様

お釈迦様は今から約二千五百年前、紀元前四六三年にインドの北部、ネパールとの国境近くのシャークヤ国で生まれました。のちに中国でシャークヤ国のことを釈迦国と表記するようになったため、お釈迦様と呼ばれるようになりました。

お釈迦様の本名は、サンスクリット語でガウタマ・シッダールタ、パーリ語でゴータマ・シッダッタ。

サンスクリット語で伝わった北伝仏教(インドから陸路中国に伝わった仏教)は大乗仏教、パーリ語で伝わった南伝仏教(インドから海路東南アジアに伝わった仏教)は小乗仏教のルーツです。

白い象とマーヤー夫人

お釈迦様の父はシュッドーダナ王、母はマーヤー夫人。

ある時、夫人が不思議な夢を見ました。六本の牙を持つ白い象が兜率天(とそつてん)という天界から舞い降り、夫人の右脇から体内に入りました。夢占い師にこの話をすると「偉大な子どもを身ごもった」と告げられます。

夫人は隣国のコーリヤ国の出身。出産のための里帰りの途上、ルンビニーという花園で休息中、季節外れのアショーカ樹の花を見つけます。

夫人が何気なくそのアショーカ樹に触れると、右脇が七色に輝き出し、光の中から子どもが誕生しました。

天上天下唯我独尊

子どもはすぐに立ち上がり、七歩前に進んで、右手で天を、左手で地を指し、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんがゆいがどくそん)」と言ったと伝えられています。

もちろん「世界中で自分が一番偉い」という意味ではありません。「生老病死(しょうろうびょうし)の苦しみから人々を救えるのは自分だけ」という意味であり、未来の仏様としての宣言でした。

お釈迦様誕生は四月八日。この日は、お花祭り、灌仏会(かんぶつえ)、降誕会(ごうたんえ)と呼ばれ、誕生仏に甘茶をかけて祝います。

お釈迦様が誕生した時に、甘露の雨と美しい花が天から降ってきたという故事に因みます。

シュラマナ(沙門)

当時のインドは外来のアーリア人が支配し、ヴァルナ(四姓=ししょう)制度が定着。のちのカースト制度です。

バラモン(司祭)、クシャトリヤ(王族)、ヴァイシャ(庶民=農工商)、シュードラ(奴隷)の四姓。アーリア人はバラモンであり、彼らの間で普及していたのがバラモン教。のちのヒンドゥー教です。お釈迦様は王族ですからクシャトリヤでした。

この時代、富を蓄えた商人が力を持って長者と呼ばれ始め、王族とともに社会の上流階級を形成。この層がバラモン教にとらわれない新しい文化や思想を生み出す原動力となります。

その中心となったのが出家遊行(ゆぎょう)して各地を回るシュラマナ=沙門(しゃもん)と呼ばれる修行者。この沙門はのちにお釈迦様の出家と大きく関わります。

王子の出家

何の不自由もない王子の身分で誕生したにもかかわらず、お釈迦様はやがて出家します。

来月は出家に至るお釈迦様の悩みをお伝えします。乞う、ご期待。