皆さんこんにちは。暑い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。昨年より様々な仏像についてお伝えしていますかわら版。仏像は菩薩、如来、明王、天部の四種類に分けられますが、今月からはそれらのどれにも属さないもの(その他)についてお伝えします。
閻魔大王も仏様
その他の代表格は閻魔大王。「閻魔大王が仏様?」と思われた方も多いかと思いますが、閻魔大王は預修十王生七経という中国のお経に登場する仏様です。日本では、平安時代に源信というお坊さんによって広められました。
閻魔大王はご存知のように、冥界の裁判官。「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれる」と言われています。亡くなった人は、生前にどのような生き方をしていたかについて、七日毎に閻魔大王を含む十人の裁判官(十王)の審査を受けます。実は、亡くなった後の法事の区切りが七の倍数であるのは、預修十王生七経の教えによります。一回目の審査(初七日)に始まり、七回目(四十九日)で一区切り。七回の審査でだいたいの判定結果が決まります。しかし、その後も、百ケ日、一周忌、三回忌の三回の追加審査があり、合計で十回の審査になります。なお、閻魔大王の担当は区切りの七回目という説と、五回目という説の両方があります。
十三仏信仰
江戸時代になると、亡くなった人の審査はさらに七回忌、十三回忌、三十三回忌の三回分が増えて十三回行われるという考え方が広まりました。裁判官も十三人に増えることになります。しかし、これは何となく三回分増えたのではなく、十三体の仏様が姿を変えて十三人の裁判官として現れたものであるという考え方に基づきます。その十三人の裁判官は、七菩薩(文殊、普賢、地蔵、弥勒、観世音、勢至、虚空蔵)、五如来(釈迦、薬師、阿弥陀、阿閦、大日)、一明王(不動)それぞれの化身と信じられています。このように、姿を変えて現れた元の仏様を本地仏(ほんちぶつ)と言います。
閻魔大王は地蔵菩薩
閻魔大王の本地仏は地蔵菩薩。地蔵菩薩は過去のかわら版(第三十五号)でお伝えしましたように、冥界の六つの世界(六道)をグルグル巡る衆生(人々)を救う菩薩。人々が天界・人間界・修羅界の善道へ行くか、地獄界・餓鬼界・畜生界の悪道へ行くかを見定めます。閻魔大王は、生前に正直な生き方をしたかどうかでその行き先を差配すると言われています。
覚王山十三仏
さて、半径一キロメートル以内に八十八箇所全ての札所が収まる日本最小の四国霊場の「写し」、ここ覚王山霊場にも十三仏があります。日泰寺東側の階段を下ると多くの札所がひしめくB地区。この地区の道路に面した場所に覚王山十三仏があります。石造りの七菩薩、五如来、一明王が並んで立っておられます。それぞれの仏像には一つずつ真言が掲げられています。真言とは「仏様の徳を讃える真実の言葉」という意味。覚王山十三仏の前で真言を唱え、すがすがしい気分でお帰りください。
次回は十二天
さて、次回は方角を司る十二人の仏様の集合である十二天についてお伝えします。愛知県内には大変珍しい十二天像があります。乞う、ご期待。