【第37号】釈迦の五印 お盆は目連の母想いから

皆さんこんにちは。夏本番になりました。健康にはくれぐれもご自愛ください。

仏像をテーマにお送りしている今年のかわら版。今月は如来編の第二回、釈迦如来についてお伝えします。

釈迦の五印

釈迦如来は悟りを開かれた後のお釈迦さまのことです。お釈迦さまの本名はゴータマ・シッダールタ。インドのシャークヤ(=釈迦)国の王子でしたが、ある時人生に無常を感じて出家しました。実在の人物です。出家したので、衲衣(のうえ=衣服)だけを身にまとった簡素な姿です。釈迦如来像を他の仏像と見分けるには、両手の印相(いんぞう=手の形)にご注目ください。手のひらを開いて見せている姿が一般的ですが、右手の形は施無畏印(せむいいん)と言って、煩悩に対して畏れがないことを表しています。左手は与願印(よがいん)。人々に慈悲を与えていることを表しています。

他に三種類の印があります。禅定印(ぜんじょういん)はお釈迦さまが悟りを開かれた時の姿。座禅でお馴染みの右手を左手の上に乗せて親指を合わせるポーズです。説法印(せっぽういん)はお釈迦さまが弟子に教えを説く姿。親指と人差し指で輪をつくります。降魔印(こうまいん)は人差し指を下に伸ばし、魔を追い払います。これらの五つを釈迦の五印と言います。

お盆は目連の母想いから

さて、もうすぐお盆。皆様のお宅でも、迎え火を焚いたり、提灯を灯してご先祖様をお迎えするのではないでしょうか。

お盆の風習も釈迦如来と深い関係があります。お盆は正式には盂蘭盆会(うらぼんえ)と言い、盂蘭盆経というお経の中に出てくるお釈迦さま弟子、目連(もくれん)の説話に由来しています。地獄で苦しむ母を見かねた目連は、大勢の僧を招いてご馳走を振舞い、手厚い供養を行ったことで母を地獄から救い出し、極楽浄土に送ることができました。

この説話から、ご先祖様を家に迎えて極楽浄土に送り返す盂蘭盆会が始まったと伝えられています。

一番札所霊山寺

四国八十八箇所霊場の一番札所は釈迦如来がご本尊です。ご存知でしたか。阿波国(徳島県)で修行中の弘法大師のもとに、ある時、釈迦如来が現れたことから、弘法大師はその地にお寺を建立し、釈迦如来像を彫って祀りました。弘法大師は、このお寺をインド(天竺=てんじく)と日本(和)の字を重ねて竺和山霊山寺(じくわざんりょうぜんじ)と名づけ、後に一番札所となりました。

霊山寺を訪れたお遍路さんは、まず十善戒という授戒を受けます。十の戒めを守ることを誓い、弘法大師の弟子となって巡礼をスタートさせるのです。

覚王山の霊山寺

お釈迦様の別名覚王の名をいただくここ覚王山八十八箇所霊場にも霊山寺があります。日泰寺山門の手前、日泰寺へ向かって右側です。

ここに祀られている龍神様。札所ができて間もない頃、どこからともなく白髭の老人が現れ「月に一度、人助けをしたい」と言って、当時札所の管理をされていた方に龍神様を手渡されたそうです。振り返るとその老人の姿は既になかったそうです。

すぐ近くです。本堂への参拝の折に立ち寄られてはいかがでしょうか。

来月は薬師如来

さて、来月は薬師如来についてお伝えします。その名の通り、病を治し健康にしてくださる如来です。乞うご期待。