【第36号】釈迦の見分け方 諸仏の王 大日如来

皆さんこんにちは。今年も早いもので折り返し点。湿気の多い季節です。くれぐれもご自愛ください。今年の弘法さんかわら版は仏像の話題をお送りしています。先月までは菩薩編。今月からは如来編です。

如来の見分け方

かわら版で過去何度かご紹介しましたが、仏像には菩薩、如来、明王、天部の四種類があります。このうち、菩薩と如来の違いを簡単に言うと、菩薩は悟りを求めて修行中、如来は既に悟りを開いた仏様です。

如来とはインドの言葉であるサンスクリット語で真実から来た者という意味。如来以外は仏教発祥後に教義の解釈から誕生したと考えられていることから、本来の仏像は如来だけとも言われます。

さて、菩薩と如来、どうやって見分けるのでしょうか。意外に簡単です。まず、他の仏像と違い、如来にはほとんど持ち物や装飾品がありません(大日如来は例外)。なぜかと言えば、如来は悟りを開いた時のお釈迦様(釈迦如来、別名覚王)のお姿を表しているからです。髪の毛にもご注目ください。短くパーマをかけたような髪形、これは螺髪(らほつ)と言う如来独特のものです。このほか、如来には三十二箇所の超人的特徴と八十箇所の小さな特徴(三十二相八十種好)があると言われていますが、なかなかそこまでは見分けられません。まずは、持ち物と髪型を手がかりにしてください。

諸仏の王 大日如来

弘法大師空海が開いた真言宗の最高仏として信仰されているのが大日如来。大日如来は曼荼羅という仏様の地位を示す図の真ん中に描かれています。大日如来は全宇宙の元であり、全ての諸仏の王であるからです。このことが、大日如来だけが例外的に装飾品を持っている理由でもあります。他の如来は悟りを得た出家者の姿、大日如来は王様の姿というわけです。

大日如来の語源はサンスクリット語で光をあまねく照らすもの(遍照)という意味のヴァイローチャナ。この言葉は漢字では毘盧遮那(びるしゃな)と表現されます。その意味から太陽に喩えられ大日如来と呼ばれるようになったそうです。

弘法大師には遍照金剛(へんじょうこんごう)という別名もあります。また弘法大師縁(ゆかり)の寺である奈良東大寺の大仏様は毘盧遮那仏と言われます。弘法大師と大日如来、深~い関係があるんですね。

牛馬を守る大日さん

四国八十八箇所霊場のうち、大日如来をご本尊とする札所は六つ。伊予(愛媛県)の国、第四十二番仏木寺(ぶつもくじ)もそのひとつです。

ある時、修行の旅の途上の弘法大師が通りすがりの老人に牛の背に乗っていくように勧められました。勧められるままに牛にまたがって道程を進んでいると、楠木に宝珠があるのを見つけました。それは何と弘法大師が唐(中国)に留学していた際、望郷の思いで縁の地へ導くようにと東(日本)の方角に投げた宝珠。弘法大師はその楠木を仏木とし、楠木で大日如来像を彫るとともに、像の眉毛の間に宝珠を納めました。以来、仏木寺は信仰を集め、ご本尊は農業用の牛馬を守る「大日さん」として親しまれています。

日本最小の四国霊場の写し、ここ覚王山八十八箇所霊場の第四十二番札所仏木寺は日泰寺奉安塔から東へ向かい、宗徳寺の先、D地区にあります。農業にご縁のある皆さん、是非一度ご参拝ください。

来月は釈迦如来

さて、来月は釈迦如来についてお話いたします。言うまでもなく仏教の開祖で、覚王山の地名の由来になった如来です。乞うご期待。