【第35号】お釈迦様から弥勒菩薩への橋渡し

皆さんこんにちは。新緑が目に眩しいですね。新緑と言えば、来る六月十五日は弘法大師のお誕生日を祝う青葉祭りです。高野山では大変な盛り上がりです。一度行ってみたいですね。

お釈迦様から弥勒菩薩への橋渡し

年初から様々な菩薩についてお伝えして参りましたが、締めくくりに地蔵菩薩をご紹介します。

第三十三号(本年三月号)でご説明しましたとおり、お釈迦様(別名、覚王)入滅後、五十六億七千万年後に弥勒菩薩がお釈迦様の化身としてこの世に現れます。そして、お釈迦様入滅から弥勒菩薩出現までの間、人々を救ってくださるのが地蔵菩薩です。つまり、現在の私たちは地蔵菩薩に守って頂いているわけです。

六つの世界を見守る六地蔵

仏教には六つの世界(=六道)という考え方があります。天界・人間界・修羅界の三善道と地獄界・餓鬼界・畜生界の三悪道です。人々は善行を行なえば善道へ、悪行を行なえば悪道へ生まれ変わります。これを六道輪廻(ろくどうりんね)と言います。地蔵菩薩は各界の入口に立って私たちを見守っていますが、この地蔵菩薩たちは六地蔵と言われ、古くから人々の信仰を集めています。

宝珠と錫杖で人々を救う

お地蔵さんと言えば、道端に立ち、丸い頭で左手に宝珠を持ち、右手に錫杖を持つ姿を思い浮かべる人が多いと思います。宝珠は人々の願いを叶えること、錫杖は人々を救うために俗界を遍歴することを示しています。

地蔵菩薩は安産や延命のご利益があると信じられており、延命地蔵菩薩と呼ばれることもあります。

第十九番札所立江寺

地蔵菩薩をご本尊とする四国八十八箇所霊場のひとつが、第十九番札所立江寺(たつえじ)です。立江寺はお遍路の関所とも言われ、邪心を持った者はここで弘法大師のお咎めを受けると信じられています。

立江寺の地蔵菩薩は弘法大師作ですが、ちょっと特別なお地蔵様です。弘法大師はその像の中に行基(奈良時代の高僧)作のお地蔵様を収めました。つまり、お地蔵様の中にお地蔵様、まるでロシアのマトリョーシカ人形のようです。

覚王山の第十九番札所で加持祈祷

日本最小の四国霊場の写し、ここ覚王山八十八箇所霊場の第十九番立江寺は日泰寺東側階段を下ったB地区にあります。

ここでは御嶽教による加持祈祷を行って頂けます。御嶽教は古くからのる山岳信仰から発展したものです。弘法大師も御嶽山にご登拝し、御嶽山には弘法大師像も祀られています。

編集部スタッフも人形祈祷(ひとがたきとう)を行なって頂きました。人の形をした紙に自分の体の具合が悪い所に印をつけ、これを焚き上げてお祈りして頂きます。皆様も一度お試しになってはいかがでしょうか。

来月からは如来編

さて、年初からお送りしてきました菩薩編は今月でひと区切り。来月号からは如来編をお伝えします。乞うご期待!