【第34号】お釈迦様の二人の脇侍

皆さんこんにちは。すっかり春本番ですね。春と言えば入学式や入社式。皆様のご家族にも、この春から新生活を迎えられた方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな季節にピッタリの菩薩をご紹介します。

お釈迦様の二人の脇侍

それは、お釈迦様(別名、覚王)の二人の脇侍(わきじ)、文殊菩薩(もんじゅぼさつ)と普賢菩薩(ふげんぼさつ)です。

文殊菩薩は「三人寄れば文殊の知恵」という諺(ことわざ)があるように、お釈迦様の知恵袋のような存在です。二月号で紹介しました虚空蔵菩薩は記憶力が優れているのに対し、文殊菩薩は判断力や理性が優れ、別名「悟りの知恵」とも言われています。

獅子にまたがり、右手に剣を持ち、左手には経典を持つ文殊菩薩像。経典は知恵の象徴、剣は知恵の鋭さ、獅子は知恵の勢いを表しているそうです。

修行と慈悲と長寿の普賢菩薩

仏教では、知恵だけでなく、修行もバランス良く行うことが理想とされています。その修行を司るのが白い象に乗った普賢菩薩。お釈迦様の二人の脇侍にも意味があるんですね。

普賢菩薩は慈悲深さ、女性らしさの象徴としても知られ、女人成仏の象徴として信仰さています。さらに長寿のご利益もあると言われ、普賢延命菩薩とも呼ばれます。

覚王山の文殊菩薩

ところで、文殊菩薩をご本尊とする四国霊場の札所は第三十一番、五台山竹林寺。なんと五十年に一度しかご開帳されない秘仏です。土佐(高知県)の景勝地、桂浜に面する風光明媚なお寺です。

日本最小の四国霊場の「写し」、ここ覚王山八十八箇所霊場の竹林寺はC地区にあります。

一方、普賢菩薩をご本尊とする札所はないようです。

目に効く観音様詳報

さて、以前眼病に効く観音菩薩が覚王山にあるとご紹介したところ、何人かの読者の方からご質問を頂戴しましたので、もう少し詳しくお伝えいたします。

正式には柳谷観音名古屋愛柳講(やなぎだにかんのんなごやあいりゅうこう)と言い、日泰寺参道の中ほどの東側、酒井屋旅館さんの脇道を挟んだ向かい側にあります。

元祖は京都府長岡京市の立願山楊谷寺(りゅうがんさんようこくじ)。その昔、この寺に目の不自由な子猿を親猿が連れて来て、湧き水で子猿の目を洗うと十七日目に子猿の目がパッチリ開いて見えるようになったという言い伝えを聞いた弘法大師が、独鈷(とっこ=仏具の一種)で地面を探り、湧き水を掘り当てました。以来、この湧き水は独鈷水(おこうずい)として眼病平癒に効く霊水と言われています。

名古屋愛柳講はこの楊谷寺から名前を授かり、楊谷寺と同じ十一面千手観世音菩薩をご本尊としています。もちろん弘法大師像も祀ってあります。毎月二十一日には参拝できますので、是非足を運ばれてはいかがでしょうか。

来月は菩薩編最終回

弘法さんかわら版では、年初から菩薩編をお送りしています。来月号では地蔵菩薩や勢至菩薩などをご紹介し、六月号からは如来編を始めさせて頂きます。乞うご期待!