【第32号】いろいろな仏像・いろいろな菩薩

立春が過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きます。くれぐれもご自愛ください。

いろいろな仏像、いろいろな菩薩

さて、今年の弘法さんかわら版では、仏像に関連した話題をいろいろとお伝えしたいと思います。

第十八号でご説明しましたように、仏像は五種類に分かれます。如来・菩薩・明王・天部・その他の五つですが、今回は菩薩を取り上げてみます。

先月号でご紹介しました観世音菩薩(=観音様)のほかに、金剛薩埵(こんごうさった)、虚空蔵菩薩、普賢菩薩(ふげんぼさつ)、弥勒菩薩(みろくぼさつ)、地蔵菩薩(じぞうぼさつ)など、菩薩にもいくつかの種類があります。今月は虚空蔵菩薩について勉強してみました。

学業成就には虚空蔵菩薩

勉強と言えば、今は入学試験シーズン真っ盛り。受験生のお子さんやお孫さんがいらっしゃる方も多いのではないのでしょうか。今日も合格祈願のお参りでしょうか。

そんな方にうってつけなのが虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)です。虚空蔵菩薩は、知恵を増し、記憶力を良くし、さらには学業成就にご利益がある仏様として信心されています。

虚空蔵求聞持法

弘法大師空海が成し遂げた数々の偉業は、この虚空蔵菩薩を抜きには語れません。

空海は二十四歳の時の著書「三教指帰(さんぎょうしいき)」の中で、「虚空蔵菩薩の真言(仏様に捧げる祈りの言葉)を百万遍唱えると、一切の経典を暗記することができるとお告げを受け、身を粉にするような修行を行った。」と述べています。 

一日一万遍百日間、計百万遍の真言を唱え続けると、なんと虚空蔵菩薩が光の玉となって、空海の口の中に飛び込みました(一説には、明けの明星=金星が飛び込んだとも言われています)。以来、空海は誰にも劣らぬ知恵の持ち主となりました。

この修行は虚空蔵求聞持法と言います。抜群の記憶力を手にした空海は、通常は修得に数十年かかる密教の奥義をわずか数ヶ月で修めました。また、鉱物学や土木学など数々の知識も極め、多くの人々を救うこととなったのです。

覚王山の虚空蔵菩薩

さて、その虚空蔵菩薩、私たちのすぐ身近にもいらっしゃいます。日泰寺山門の手前、千体地蔵が納められているお堂のすぐ隣に立っている茶色の仏像が虚空蔵菩薩像です。

お子さんやお孫さんの学業成就、合格祈願のために、是非ご参拝ください。

ところで、この虚空蔵菩薩像、いつ誰がこの場所に安置したのでしょうか。編集部でも調べてみましたが、よく分かりませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたら、是非ご教示ください。

来月は年命日の弘法さん

さて、来月の弘法さんの日(三月二十一日)は空海の年命日です。日泰寺参道が一年で最も賑わう日です。

空海は西暦八三五年三月二十一日に高野山で入定(ご逝去)されましたが、この時に深く関係するのが弥勒菩薩です。来月号ではこの弥勒菩薩についてお伝えしたいと思います。