【第26号】お月見と縁の深い覚王山 満月と弘法大師

皆さん、残暑お見舞申し上げます。お盆が明けてもまだまだ暑い日が続きますね。しかし、立秋も過ぎ、暦の上ではすでに秋です。まもなく九月、お月見の季節になりますね。

お月見と縁の深い覚王山

以前にも、このかわら版でご紹介させて頂きましたが、覚王山周辺には月見坂町や観月町といった「月」が入っている地名が残っています。

平地の多い名古屋の中で、覚王山周辺は際立って小高い丘になっており、江戸時代にはお月見の名所だったそうです。その名残が地名に残っているようです。

今月は満月が二度ある珍しい月です。満月の周期は二十九・五日ですから、ひと月のうちに満月が二回見られることは滅多にありません。今月はたまたま一日と三十日が満月に当たります。

ちなみに、今年の「中秋の名月」、つまり旧暦の八月十五日は九月二十八日だそうです。今年の「中秋の名月」は、覚王山界隈で弘法大師を偲びながらのお月見はいがかですか。

満月と弘法大師

弘法大師を偲びながらって、どうして?と思われた読者の方が多いかもしれませんね。実は、弘法大師の誕生日は旧暦の六月十五日、この日も満月の夜でした。

暦に詳しい読者の皆さんはご存じのことと思いますが、旧暦(太陰暦)は月齢に対応しますので、毎月十五日はだいたい満月に当たります。

したがって、今月一日が旧暦六月十五日(弘法大師誕生日)、三十日は同七月十五日(旧盆)、来月二十八日が同八月十五日(中秋の名月)となるわけです。

余談ですが、旧暦では年初から三か月ごとに春夏秋冬となります。したがって、七、八、九月は秋であり、旧暦八月十五日は秋の真ん中だから、中秋の名月となります。

「そんなこと知っとるがね」というお声が聞こえてきそうです。たいへん失礼致しました。

覚王山満月巡礼

こうして覚王山とお月見の関係、弘法大師と満月の関係を調べてみると、何だか不思議な気がしてきます。

四国八十八カ所霊場の日本最小の「写し」である覚王山八十八か所霊場ですが、満月と絡めた巡礼行事なども工夫できそうですね。

旧暦の毎月十五日(弘法大師の月命日)の夜に覚王山で弘法大師を偲んで一杯やる(不謹慎かも・・)ことを「覚王山満月巡礼」などと命名してはいかがでしょうか。参道名物のみたらしを満月に見立てて食べるのも一興です。

月と高野山

旧盆と満月が重なる今月三十日には、弘法大師が開山した高野山金剛峯寺では「月と高野山」という催し物が開催されます。記念コンサートや、満月と縁の深い瞑想法である阿字観(あじかん)の実習体験も行われるそうです。この瞑想法を体得すると、心の雲が晴れて満月が表れ、澄み切った気持ちになれると言われています。

お詫びと訂正

かわら版第二十四号(六月号)では、愛知の七福神巡礼をご紹介させて頂きました。その中で、尾張七福神の所在地を甚目寺町としておりましたが、正しくは祖父江町であり、甚目寺町にあるのは尾張四観音であることが分かりました。ご教示頂きました読者の方に御礼申し上げます。お詫びして訂正させて頂きます。