【第16号】安産・子育て祈願の子安大師 お地蔵さんの赤いよだれかけ

皆さん、こんにちは。今月の12日から13日にかけて、「覚王山秋祭」が行われました。おでかけになりましたか。関係者の皆さん、お疲れさまでした。

安産・子育て祈願の子安大師

さて、弘法大師は実に様々な偉業(奇跡)を成し遂げたと伝えられています。このかわら版でも、焙烙灸(ほうろくきゅう)で病気を治したり、井戸水を掘り当てたというお話を紹介させていただきました。

ほかにも、子安(安産、子育て)の奇跡を起こしたと言われています。

ある時、弘法大師が伊予の国(愛媛県)の香園寺(こうおんじ)というお寺を訪ねたところ、ひとりの妊婦が難産に苦しんでいるのを見つけました。そこで、栴檀(せんだん)の木を焚いて祈祷したところ、無事に元気な男の子が生まれたと伝えられています。栴檀の木の皮は、古くから漢方薬や虫除け剤として使われていたようですが、どのような薬効があったのでしょうか。

以来、香園寺は第六十一番札所となり、山号も栴檀山とされました。大正時代には子安講ができ、安産、子育てにご利益があるとして女性の信仰を集めました。

子安の奇跡に因んで、弘法大師のことを子安弘法とか子安大師と呼ぶこともあります。

お地蔵さんの赤いよだれかけ

ところで、お地蔵さんと言えば赤いよだれかけですね。でも、なぜよだれかけを掛けているのでしょうか。

それはお地蔵さんが子どもを守るという役目を果たしているからです。

古来、お地蔵さんは村々の境にあり、人々が集まり、縁結びのきっかけになったと言われています。そうした由来から転じて子育ての象徴へと発展したそうです。そして、よだれかけを掛けるのは、お地蔵さんに子ども守ってもらうようお願いするためです。「この匂いがわが子のものです。どうぞよろしくお願いします」というわけですね。

覚王山の子安弘法

日本最小の覚王山八十八ヶ所霊場にも、もちろん香園寺があります。日泰寺本堂の東側、札所が密集するB地区の中です。子安弘法と彫られた石碑もしっかりと建っており、また付近にはたくさんのよだれかけが掛かっています。お子さんやお孫さんのために、ぜひ一度お参りしてください。

東洋一の子安大師像

東洋一大きな子安大師像は愛知県蒲郡市三谷にあります。全長六十二尺(17.78メートル)の像です。名古屋の熱心な信者さんが建立を発願し、昭和13年に完成したそうです。なぜ62尺かと言うと、弘法大師が62歳でご入定(他界)されたことに因むものです。

参道ミュージアム

11月3日まで覚王山商店街振興組合「街づくり委員会」主催の参道ミュージアムが開かれています。最も盛り上がるのは11月1日から3日までの3日間。数々の芸術作品の展示やミニ演劇が楽しめます。ぜひお出かけください。