【第9号】「お遍路」の順番?「お接待さん」の後継者問題

皆さん、こんにちは。今日は春分の日、早いものでもう桜の季節ですね。お花見シーズンをお見逃しなく!!

先月号では、覚王山・八十八ヵ所霊場(札所)のご本尊のお話をお伝えしました。札所の名前(寺院名)は四国霊場と全く同じですが、ご本尊の名前はどうなっているのでしょうか?さっそく、いくつかの札所の「お接待さん」に確かめてみました。

結論的に申し上げれば、四国霊場と同じご本尊を祀ってある札所は意外に少ないようです。四国霊場では薬師如来のはずが覚王山札所では観音様だったり、中には、弘法大師像と並んで「お接待さん」のご先祖様が祀ってある札所もありました。これから地道に調査をして、いずれ札所とご本尊の一覧表を作りたいと思います。

「お遍路」の順番?

ところで、札所はどういう順番で回るかご存知ですか?「そんなもん、番号順に決まっとるがね」と呟かれた方が多いと思いますが、一番札所からスタートする場合と、八十八番札所からスタートする場合があります。前者を「順打ち」、後者を「逆打ち」と言います。四国霊場の場合、「順打ち」は「阿波→土佐→伊豫→讃岐」という時計回りになります。「逆打ち」は時計と反対方向に回ることになります。

また、「通し打ち」と「区切り打ち」という言葉もあります。「通し打ち」は全区間(八十八ヵ所)を一気に回ること、「区切り打ち」は区間を区切って何回かに分けて回ることを指します。本場四国では「通し打ち」をできるお遍路さんは少なく、主流は「区切り打ち」のようです。

さて、覚王山・八十八ヵ所霊場の場合はどうでしょうか。まず、札所の順番はバラバラです。どうしてそうなったのかは分かりません。ただ、もともとは札番順に並んでいたものが、日泰寺本堂、霊堂、納骨堂の建設、姫池通の拡幅工事などによって移設されたためという話も聞きました。各札所が今の場所に落ち着いたのは、昭和の終わり頃だそうです。

したがって、覚王山・八十八ヵ所霊場では「順打ち」も「逆打ち」もなかなか大変そうですが、その一方で、何しろ半径1キロメートル以内に全札所が集まる「日本最小の・八十八ヵ所霊場」です。全国の霊場で最も「通し打ち」に適した巡礼地と言えます。有り難いことですね。

「お接待さん」の後継者問題

札所番号碑の石柱の裏に○○商店と書いてあるものもありました。「お接待さん」に伺ってみると、○○商店の従業員の皆さんが代々札所のお世話をしているそうです。若い人たちがなかなか後を継いでくれないようで、中小企業や商店と同様に、ここにも後継者問題があるようです。無縁札所になってしまわないように、ひとりで複数の札所を守っている方もいるようです。

さて、先月号でもお伝えしましたが、今日は弘法大師の命日で「御祥当」と言われます。「お接待さん」の皆さん、御苦労様でございます。これからもよろしくお願い致します。合掌。