政治経済レポート:OKマガジン(Vol.45)2003.3.29

参議院議員・大塚耕平(Ohtsuka Kouhei)がお送りする政治経済レポートです

平成15年度当初予算が昨日成立しました。82兆円にも及ぶ予算です。その歳出の中身を詳細に精査することは困難ですが、不明朗な無駄遣いを地道に摘出していきたいと思います。今回は、26日の財政金融委員会(予算委嘱審査)でとりあげた「チャーター機問題」についてご報告します。翌日の新聞各紙にも記事が掲載されましたので、ご関心のある方はどうぞご覧ください。

1.チャーター機問題:第1ラウンド「不誠実な答弁」

冒頭、塩川大臣に財務省自身の予算に無駄遣いがないか聞いたところ、「まあ、いろいろと無駄遣いはあると思いますね。古い因習もあるでしょうから、そうしたことをディスクローズして、直していけばいいのではないでしょうか」とのご答弁。そこで、質問しました。

大塚「ところで、大臣、2月のG7(パリ)にはどうやって行きましたか」
大臣「日本航空の特別便ですな」
大塚「なるほど、チャーター機ですね。たしかジャンボ機をチャーターしたと思いますが、何人で搭乗しましたか」
大臣「・・・・、何人でしたかな、たしか10数人でしたね」

何と10数人でジャンボ機を片道チャーターしたという事実が明らかになりました。なぜそんなことをしたのかと質問したところ、大臣曰く、以下のとおりです。

大臣「いやあ、その頃は予算委員会など国会日程が詰まっていましてね。G7に間に合わないかと思って、前日にチャーター機をお願いしたんですよ」
大塚「その答弁は納得できませんね。航空会社はチャーター用の機体を常に用意しているわけではなく、チャーター機のオファーがあったら、数週間かけてスケジュールを調整して機体を繰り回してチャーター機を捻出すると聞いています。予約したのはもっと前でしょう。今の答弁はどういうことですか!!」
大臣「・・・・」
財務省国際局長「「ご指摘のとおり、予約したのは1ヶ月前です」
大塚「国会日程の関係で急遽チャーター機を調達したという答弁はおかしいではないですか。最初からチャーター機で行く予定だったのでしょう。どういうことですか!!」
大臣「・・・・」

明らかに虚偽、ウソの答弁です。一事が万事、ハッキリ答えたくない質問にはいつもこの調子です。今回のような話題だけではなく、政策論議でも同様です。こうした「不誠実な答弁」が国会の議論を空虚なものにしています。

国会における虚偽答弁は犯罪同然です。「不誠実な答弁」を行う閣僚、官僚には、おおいに反省を求めたいと思います。

2.チャーター機問題:第2ラウンド「財務省の常識は国民の非常識」

判明した詳細は以下のとおりです。行きも帰りも、チャーター機とほぼ同時刻に商業便(定期便)があるにもかかわらず、あえてチャーター機を調達しています。

行きは財務省11人、金融庁2人の13人、帰りは財務省17人、金融庁2人、日本銀行7人の26人でジャンボ機を借り切っています。

財務省の申告によれば、財務省が支払った金額は5365万円、金融庁は162万円、日本銀行は1427万円です。1人当たりの単価(片道)にすると、財務省192万円、金融庁41万円、日本銀行204万円です。単価にバラツキがあるのは変ですね。

客が10数人なのに、客室乗務員等はフルラインアップで搭乗していたようです。いったいどんなサービスをしてもらったのでしょうか。開いた口が塞がりません。

行きは、午後5時45分羽田発、午前0時(現地時間)パリ着ですが、午後9時55分成田発、午前4時(同)パリ着のエールフランス便がありました。どうしてそちらを使わなかったのでしょうか。

ある財務省職員の話によれば、旅費・宿泊費の規定上、午前2時以降に現地に到着すると宿泊費がでないそうです。そこで、午前2時以前に到着できるように、チャーター機を調達したということです。・・・・理解不能ですね。宿泊費だけを特別に手当てすれば済む話です。宿泊費を捻出するために、ジャンボ機をチャーターする「財務省の常識」は「国民の非常識」です。

おまけに、財務省国際局長曰く、「大臣に少しでも休んで頂くために、到着時間の早いチャーター便を使いました。国際会議に眠い状態で出席して頂くのも何ですから・・・」。眠気を我慢して国際会議に出席するのは当たり前です。民間企業の人もみんなそうやって頑張っているのです。

財務省国際局長殿、ふざけた答弁をしないで頂きたい。

3.チャーター機問題:第3ラウンド「もう乗りません!!」+延長ラウンド

さて、こうした事実が判明したので、大臣に聞きました。

大塚「日本経済がたいへん厳しい状況にある中、歳出の無駄遣いを戒める立場の財務省がこんなことをしていては、国民の皆さんは納得しませんよ。大臣、どうするんですか」
大臣「そうですな、必要性も考えて、よく検討します・・・・」
大塚「何を言ってるんですか。大臣は冒頭に『いろいろと無駄遣いはあると思う。古い因習もあるので、そうしたことをディスクローズして、直していけばいい』と立派なご発言をされたじゃないですか。チャーター機をこれからも使うんですか、もう使わないんですか?」
大臣「・・・・・(大きな声で叫ぶ)もう乗りません!!」

いや、結構なことです。さすがは塩爺、よく断言しました。聞きましたよ、シッカリと。

しかし、話はこれで終わりません。平成15年度予算にもチャーター機調達を想定した経費が盛り込まれています。「もう乗りません!!」ということは、その経費は必要なくなります。予算は昨日成立してしまいましたが、本当は減額修正しなくてはなりません。さて、どうするのでしょうか。

財務省は、過去にも、判明しているだけで5回チャーター機を使っています。その中には、国会議員秘書が搭乗していることもありました。何のために乗っていたのでしょうか。料金は払ったのでしょうか。他の省庁もチャーター機を使っているのでしょうか。どうして政府専用機を使わないのでしょうか。今回の件では、どうして財務省と金融庁と日本銀行で単価が違うのでしょうか。平成15年度予算の取り扱いだけではありません。この問題は延長ラウンドでシッカリと調査させて頂きます。

(了)