皆さん、こんにちは。新緑まぶしい五月。早くも初夏の気分ですね。旧暦の知立の今月の縁日は九日、旧暦のご祥当(三月二十一日)です。新暦の覚王山は、もちろん毎月恒例の二十一日です。
般若心経の意味を学ぶ今年のかわら版。生き方や社会のあり方を考える際の道標(みちしるべ)です。
今月はご心経の前半の人気(?)の一節「舎利子(しゃーりーしー)色不異空(しきふーいーくう)空不異色(くうふーいーしき)色即是空(いきそくぜーくう)空即是色(くうそくぜーしき)」の十九文字。
舎利子はお釈迦様の十大弟子のひとり。そうです、弟子に語りかけているのです。舎利弗(しゃりほつ)が正式な名前。サンスクリット語ではシャーリプトラ。「智慧第一」と呼ばれた俊才です。
先月の五蘊(ごうん)の解説を思い出してください。「色」はかたちある物のこと。「空」は実体がないこと。
「色不異空」は、かたちある物は実体がないのと同じこと。
「空不異色」は、実体がないので、かたちある物も一時的な存在にすぎない。
「色即是空」は、かたちある物は、つまり実体なきもの。
「空即是色」は、実体がないことが、かたちある物になっている。
何だかわかったような、わからないような…。かたちある物はたまたまいろいろな条件によって一時的な存在として目の前にあるだけですよ。ということでしょう、たぶん。
次の八文字「受想行識(じゅーそうぎょうしき)亦復如是(やくぶーにょーぜー)」の受想行識も五蘊でしたね。心を構成する四つの要素です。
つまり、心を構成する四つの要素も色(かたちある物)と同じ。一時的な思いにすぎず、本来は実体がないものと教えています。
物も心もいろいろな条件によってたまたま存在しているだけ。それが理解できれば、何かに執着することもなく、「欲」もなくなります。
多くの人に親しまれるご心経。わずか三百文字弱の短いお経の中に、お釈迦様の教え、人間関係や社会の問題を和らげる心のあり方、生き方についての教えがたくさん詰まっています。
みんなが「色」「受想行識」つまり「五蘊」の本質を理解できれば、国同士、人同士の争いや問題も少なくなるでしょうね。
それでは、また来月。ごきげんよう。合掌。