皆さん、こんにちは。早いものでもう四月。旧暦で行っている知立の今月の縁日は九日、新暦の覚王山は毎月恒例の二十一日。いよいよ春本番ですね。
般若心経の意味を学ぶ今年のかわら版。生き方や社会のあり方を考える際の道標(みちしるべ)です。
今月は「照見五蘊皆空(しょうけんごーうんかいくう)度一切苦厄(どーいっさいくーやく」の十一文字。
生き物は全て物と心で成り立っています。仏教では、かたちある物のことを「色」と言います。
一方、心は「受(感じる)」「想(考える)」「行(心がある方向に向く)」「識(自らを知る)」の四つから成るそうです。ちょっと難しいですね。
人間は物と心、つまり「色」「受」「想」「行」「識」の五つから構成され、この五つが「五蘊」です。「蘊」という字は何かが集まっている状態を表します。
人間が逝けば、物も心もなくなります。だから「皆空」。「照見」は見極めるという意味。
つまり、「照見五蘊皆空」は「かたちあるものはやがてなくなることを知る」ということを教えています。
「度一切苦厄」の「度」は「渡す」。どこからどこへと言えば、現世の「此岸」から覚りの「彼岸」にです。
「此岸」から「彼岸」に渡り、「一切」の「苦」と「厄(災い)」から解放され、心安らかな境地になる。それが「度一切苦厄」です。
かたちあるものはやがてなくなる。そのことを理解できれば、苦しみにも災いにも囚われず、心安らかな気持ちになれる。「照見五蘊皆空度一切苦厄」の意味が何となくわかるような気がします。
「苦」は「欲」から生まれます。何かに執着すれば、それを得られなければ苦しくなります。しかし、何もかも、かたちあるものはやがてなくなります。そのことを理解できれば、「欲」もなくなります。
多くの人に親しまれるご心経。わずか三百文字弱の短いお経の中に、お釈迦様の教え、人間関係や社会の問題を和らげる心のあり方、生き方についての教えがたくさん詰まっています。
みんなが「照見五蘊皆空」であれば、「欲」からも解放され、国同士、人同士の争いや問題も少なくなるでしょうね。
それでは、また来月。ごきげんよう。合掌。