名古屋市内の16区に合わせて16の政策分野をPICK UPしています。政策分野は16にとどまらず多岐にわたります。
2023年6月時点での情報に基づいた記述です。今後、随時更新していきます。
医療・介護・福祉
医療リソースの質・量を高めます
医療リソースの質・量を高めます 地域医療計画、名古屋・尾張中部医療圏等の現行の医療プラットフォームの中で、医療政策の質・量を高めます。5つの名市大附属病院(大学・東部・西部・みどり・みらい光生)、名古屋陽子線治療センター等の名古屋市所管の医療リソースと、県立がんセンター、名大病院、藤田医大、愛知医大、及び民間病院を含む、市内外の官民医療リソースの有機的な連携を図り、名古屋を中心とした医療の質を高めます。認知症対策と介護政策は医療政策と密接に関係する重要な政策課題です。地域の見守り体制確立、介護人材確保等の国の施策の枠組みを踏まえつつ、歯科健診や聴力維持(補聴器無償貸出)による認知症対策等、名古屋市独自の工夫にも取り組み、16区単位での地域包括ケアシステム構築を目指します。コロナ禍の経験を踏まえ、愛知県及び近隣市町村とも連携し、医療リソースや感染症対策等の整備を進めます。
防犯
安心・安全の要、防犯に全力
防犯は市民の皆さんの安心・安全の要です。警察は県の所管ですので、県警と市民の皆さんの協力によって防犯機能を高めます。具体的には市の防犯パトロール協力企業制度と防犯ボランティア団体協定を拡充します。民間警備会社の車両、防犯灯をつけた防犯パトロール協力企業の車両等による巡回機能を高め、警察・警備車両を補完します。消防団や自治会、民生委員等との連携、その他の工夫も行って市内の安全度を高めます。特殊詐欺対策として、市民への情報提供、啓発活動、詐欺被害阻止協力者への顕彰等を一層積極的に行い、被害発生抑止につなげます。犯罪を犯した人等を地域社会の一員として包摂し、立ち直りを支援することも間接的な防犯対策です。2022年 10月にスタートした立ち直り支援コーディネート機関の活動を強化するとともに、保護司の皆さんとの連携体制を構築・整備します。
観光・文化・スポーツ
名古屋三大ツアーを確立します
観光文化政策を、①歴史、②芸術・産業、③共生の3つの観点から進めます。内外からの観光客に喜ばれる、①歴史ツアー(名古屋城→碁盤割り城下町→熱田神宮等々)、②芸術・産業ツアー(能楽堂→芸文→産業博物館→科学館等々)、③共生ツアー(コスプレイベント→大須→大津通等々)の名古屋三大ツアーを確立します。名古屋城外堀から堀川経由熱田湊までのツアー和船、観光ツアーバス、大道芸の演芸場等の整備・維持に取り組むと同時に、外国人在住者にも有用な多言語文化・行政・観光拠点、名古屋城天守閣の再建推進、産業博物館的インフラの拡充等を進めます。令和 4年度から始まった「第 3次名古屋市多文化共生推進プラン」に基づいて多文化共生政策を進めます。観光ハブ都市としての機能に加え、名古屋自身の魅力向上に資することを目的に、名古屋市も参画する「尾張名古屋歴史学会」を設立します。
産業
スタートアップのエコシステムを形成
現在 2022年 3月公表の「名古屋市産業振興ビジョン 2028」に基づいて「スタートアップ・エコシステムによるイノベーションの創出促進」のための人材育成、環境整備、社会実証促進、グローバル化支援のほか、中小企業支援等が行われています。こうした取組みをさらに進めるとともに、今後は名古屋市経済局及び工業研究所等にスタートアップ企業、新技術、新しいビジネスモデル等の情報蓄積を進め、名古屋市自らが起業家の相談に応じられるシンクタンク機能を養います。今後の技術革新、スタートアップ企業のコアとなるのはロボティクスです。名古屋市にAIを含むロボティクスを支える人材・技術・企業・情報等のリソースを蓄積します。また、名古屋証券取引所、地場証券地域金融機関、エンジェル投資家等と連携し、スタートアップ企業や地元中小企業を支援する金融面のエコシステムを形成します。
商店街・中小企業
アウトリーチ型の商店街・中小企業支援
商店街商業機能再生モデルの 2事業(①空き店舗の再生を通じて商店街エリアの活性化を図る「リノベーション事業」、②商店街の店舗が連携して先導的な取組みを行う「イノベーション事業」)をさらに推進します。商店街の空き店舗をスタートアップ企業、小規模 IT企業、起業・創業に使いやすくします。中小企業の集積は名古屋市が持つ特徴であり、優位性です。名古屋市がさらに発展するために中小企業支援策を強化します。中小企業団体(商工会、商工会議所等)と士業団体、官民金融機関、大学等研究機関等の有機的関係を市が支援するとともに、中小企業支援部署も強化します。「待ちの支援」ではなく、名古屋市産業施策ハンドブック(中小企業の手引き)等も活用した「アウトリーチ型の支援」を徹底します。地域金融機関が設立する地域商社に名古屋市も協力し、ビジネスマッチングをサポートします。
ICT
利便性と行政効率に資する ICT化
名古屋市は「名古屋市情報化プラン」(2000年 12月)や「第 2次名古屋市情報化プラン」(2012年 3月)に基づいて電子申請サービスの拡充やソーシャルメディアを活用した市政情報発信等に取り組んできました。さらに「名古屋市 ICT活用に関する基本方針」(2019年 3月)を策定し、13事業に取り組んでいます。しかし、技術革新と社会変化は驚異的なスピードで加速しており、現実と施策の乖離を是正するためには常にキャッチアップが必要です。一定期間単位の基本方針や計画ではなく、適時フォローアップ、毎年ローリングの体制確立を徹底します。ICTへの取り組みのポイントは、市民の皆さんにメリットのある ICT化、行政効率向上に資する ICT化です。チャットGPTを使った市政ガイダンス等、最先端の技術や製品を活用するとともに、若い世代を構成員とした市政業務 ICT化検討委員会を設置します。
教育
夢に向かって人生をきり拓く
現在「第3期名古屋市教育振興基本計画-夢いっぱいなごやっ子応援プラン-」(2023年度最終年度)に基づき、名古屋市教育委員会は「夢に向かって人生をきり拓くなごやっ子の育成」を基本理念としています。第3期基本計画に盛り込まれた4つの方向と18の施策のうち「施策10(子どもの針路応援)」「施策12(保護者の経済的負担軽減)」を軸に、子どもが教育を受ける権利と機会の保障を徹底します。「夢に向かって人生をきり拓く」ことができる子供たちを育むためには、極めて速いスピードで変化・進化する社会や世界の動きが理解できる教育を行うことが必要です。名市大を含む名古屋市の教育インフラを有効活用すると同時に、県立・国立等の学校、諸機関と連携して実践します。また「施策17(博物館政策)」「施策18(名古屋の歴史文化)」を踏まえ、子どもたちの郷土史や地域への関心を高める教育を進めます。
都市農業
最先端の都市農業にチャレンジ
中川区富田地区、港区南陽地区、守山区東谷地区の 3地区は、法律に基づいて愛知県知事から総合的に農業振興を図る「農業振興地域」の指定を受けており、農用地区域内の農地は原則転用できません。守り、伸ばすべき都市農業のモデル地域です。今後の 3地域の農業の発展にさらに注力します。また、室内栽培技術やAI等の科学技術を駆使した都市農業も著しく進化しています。現在は 2018年(平成 30年)策定の「名古屋市農業振興基本方針なごやアグリライフプラン」に基づいて市街化区域内の農地保全が行われていますが、環境変化に対応した都市農業の振興も図ります。最近の著しい技術進歩を踏まえ、名古屋市農業センター等においてビルや建物の中で行う施設内農業の普及に取り組み、名古屋市を都市農業の盛んな都市として発展させます。各区に残された農地を大切にし、ビオトープを形成します。
子ども
子育てと子どもの成長を支えます
「次世代育成支援対策推進法(2003年公布・施行)」と「子ども子育て支援法(2012年公布 2015年施行)」に基づいて自治体の子ども政策が運営されています。名古屋市では、子ども施策に関する総合計画として「なごや子ども・子育てわくわくプラン2024」が策定され、乳幼児・新生児の全戸訪問に加え、現金給付・教育保育給付・地域子ども子育て支援事業等が行われていますが、これらが有効に機能しているかを検証し、問題点を改善し、拡充していきます。ナショナルミニマムを超えるローカル政策の全国情報を収集し、他の自治体との比較検討を行い、足らざる点を拡充し、名古屋市を名実ともに「子育てし易い都市」「子どもの成長を支える都市」として発展させます。フィンランドのネウボラの仕組みをさらに研究・分析し、妊婦や子育て世代の支援に資する仕組みとインフラを各区に構築していきます。
環境
名古屋型ドーナツモデルを構築します
名古屋市環境基本条例に基づく第4次環境基本計画(2021年9月)に掲げる「都市環境と自然の調和」を追求します。市当局の使用する電力の再エネ比率に目標を定めるほか、温暖化対策に寄与する諸分野の施策を推進します。市バスには EVバス(国産車)を導入し、公園及び緑地整備、都市農業振興を図るとともに、家庭菜園・園芸推進等、市民の皆さんとのパートナーシップによる美化運動等を奨励する仕組みを作ります。コペンハーゲンやアムステルダムのような欧州環境先進都市の事例やノウハウを研究・吸収し、「名古屋型ドーナツモデル※」を構築します。環境問題は都市計画と表裏一体です。パリは19世紀にセーヌ県知事ジョルジュ・オスマンが取り組んだ都市整備計画が100年後に花開きました。名古屋市も長期的目標を定め、時代に適した計画的な都市づくりを進めます。
※生活環境と自然環境の両立を謳う「ドーナツ経済学」に基づくモデル。
住宅
「住むこと」「暮らすこと」を支えます
高齢者の住み替え、老後生活費の確保に資する「マイホーム借上制度」「リバースモーゲージ制度」等を一層推進し、「長期的なライフプラン設計がし易い街」を目指します。「ナゴヤ家ホーム(高齢者共同居住事業)」(友人、知人同士で市営住宅の住戸に住む制度)を現役世代、若者世代にも利用できるようにし、市営住宅等の公共賃貸住宅を有効活用します。「マイホーム借上制度」「ナゴヤ家ホーム制度」に加え、空屋対策、市営住宅等の有効活用を含め、住宅の質・量を確保し、「住宅を確保しやすい街」を目指します。「マイホーム借上制度」や空屋対策に商店街活性化対策も絡め、スタートアップ企業や小規模事業者のオフィス需要にも応えます。住宅政策と都市計画の整合性を図り、中長期的に住宅地のゾーニングを進め、既に宅地化、市街化している地域を有効活用し、環境及び自然と都市の調和を図ります。
公共交通
使い易く、地域を発展させる公共交通
現在「名古屋市営交通事業経営計画 2023」(2023年度が最終年度)を執行中ですが、SDGs推進や健康維持等の観点からも、高齢者を中心とした公共交通の利用率向上やEVバス導入を図ります。EVバスは、名古屋市、愛知県の地域産業育成のために国産車を使用します。都市計画との整合性を図りつつ、将来構想として東山線リニア化とリニモ接続・延伸・愛知環状鉄道等との大環状線化の可能性を検討します。セントレア及び小牧空港へのより円滑なアクセス・短時間化も検討し、名古屋市内とセントレア・小牧空港との機能連携強化を図ります。名古屋港駅からセントレアへの船舶利用、セントレア・小牧への空飛ぶ自動車の活用も検討課題です。内外友好都市等との共通交通カードを検討し、交流を進めます。災害時におけるバスの避難拠点機能、地下鉄・地下街のシェルター的機能にも着目し、それらの検討を進めます。
高齢者
認知症対策と健康増進に努めます
団塊世代が 75歳以上となる 2025年(令和 7年)を目前に控え、高齢化率は既に 25%を超えています。第 8期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の対象期間は令和 5年度までのため、次期計画を的確かつ早急に策定し、名古屋市を地域包括ケアシステムの先進都市とします。第 8期計画に基づく「はつらつ長寿プランなごや 2023」の「施策 5」に含まれる「地域ケア会議」と国の施策である「地域医療構想調整会議」との連携が重要になります。「施策 10」には認知症対策が盛り込まれていますが、そのためには地域の自治会・消防団等との連携、見守り体制の充実が必要です。歯科健診、認知症防止のための聴力維持対策(補聴器無償貸出)、脚力維持対策(ウォーキング推奨制度、マシン貸出等)を進めます。外出・歩行奨励のために敬老パスをより使い易くします。防災との関係でトリアージに資する情報カードの整備を進めます。
地震対策
備えよ常に、災害対策に全力
地震・津波等の対策を進めます。駿河トラフで起きる東海地震、南海トラフで起きる南海地震も含め、名古屋市内の防災対策、発災時の避難・救援対策等を悉皆調査し、足らざる部分を強化します。東海地震、南海地震に備えた広域避難場所の周知・運営体制整備を徹底します。服用薬、疾患等に関する情報カードを普及させ、被災者のトリアージ体制を整えます。紀伊半島を境に南海トラフ東側(名古屋市を含む)と西側で地震発生時間差があることに着目した仕組みである「南海トラフ地震臨時情報」が発表された場合、名古屋市は後発地震発生後の浸水により避難が間に合わない懸念のある地域(事前避難対象地域)に対し 1週間の事前避難を呼びかける一方、対象地域外では日常生活を行いつつ地震に備えます。その後の企業・学校・地域社会等のBCP体制を再確認し、体制整備・準備を進めます。
狭隘道路・空家
狭隘道路・空家対策を拡充します
防災及び都市整備の観点から、狭隘道路の解消を進めます。後退用地の整備助成金、通路使用奨励金、プレート・鋲設置費、移設(量水器、ガスメーター、樹木等)助成金等を支給する「生活こみち整備促進事業」を拡充します。また、防災・衛生・景観等の観点から地域生活環境に影響の大きい空家対策に取り組みます。令和 4年策定の「第 2期名古屋市空家等対策計画」に基づく特定空家等の減少に取り組むとともに、空家等の発生の未然防止や管理の適正化などの取り組みを推進します。空屋の有効活用も含め、「空家等対策に関する協定」を基に関係団体・士業団体・企業等との連携を進めます。空家発生を抑制するための税制特例措置(空家譲渡所得の 3,000万円特別控除)の浸透を図るとともに、地方税制上の独自の工夫や、空家対策等を推進するために老朽危険空家等除却費補助金等を拡充していきます。
都市計画
100年後を見据えたグランドデザイン
2020年 6月策定「都市計画マスタープラン 2030」を土台にした複数の計画が動いています。都市づくりの目標として「暮らす(生活)」「楽しむ(余暇・観光)」「創る・働く(経済・産業)」の 3つを掲げ、8つの重点地域を挙げています。この枠組みを有効活用するとともに、16区単位での検討も必要です。マスタープランと整合的な区毎の計画を策定します。次の計画策定予定は 2030年頃ですが、リニア開業、名古屋駅前開発、名古屋城天守閣再建等の状況を踏まえ、前倒しで検討を始めます。50年、100年後を見据えたグランドデザインも必要です。パリは都市計画の構想が 100年かけて実現しました。居住環境重視の英国型、ゾーニング計画重視のドイツ型等、都市計画の先駆例を参考にしつつ、短期及び中長期の計画を策定します。その際には「環境」「教育」「地域包括ケア」の 3つの視点を重視します。